離婚時に養育費を取り決めたものの、生活環境や収入の変化、子供の進学などで、養育費の増額を希望するケースが増えています。一度決定した養育費でも、状況に応じて話し合いや法的手続きを通じて増額が可能です。
この記事では、養育費の増額が認められるケースや増額の手続き、また増額請求に対する対応方法について詳しく解説します。
目次
養育費の増額が認められるケース
当事者間の話し合いで養育費の増額に合意できれば、養育費は増額できます。しかし、支払う側が話合いに応じない場合や、増額に同意しない場合は、家庭裁判所の調停や審判を利用する必要があります。増額が認められるためには、養育費を取り決めた時には予測できなかった事情の変化が重要です。以下のような状況では、養育費の増額が認められやすいです。
1. 受け取る側の収入減少
収入が減少した場合、例えば失業や病気で働けなくなった場合、養育費の増額が認められることがあります。
2. 支払う側の収入増加
支払う側の収入が大幅に増えた場合、特に出世や転職による収入増加がある場合は、養育費の増額が検討されることがあります。
3. 子供の教育費増加
子供の進学に伴い教育費が増加した場合、特に私立学校や大学進学が関わる場合に、増額が認められる可能性が高いです。
4. 子供の病気や医療費増加
子供の病気やケガにより医療費やリハビリ費用が増加した場合も、養育費の増額が考慮されることがあります。
養育費増額請求の手続き養育費増額請求の手続き
養育費を支払う側に増額を求める際の流れを以下に示します。
1. 相手に直接請求
まずは対面、電話、メール、LINEなどで相手に直接養育費の増額を求めましょう。経済的な理由や子供の将来に必要な費用について具体的に説明することで、相手の協力を得やすくなります。合意に至った場合は、後のトラブルを防ぐために書面で取り交わし、公正証書を作成しておくことが望ましいです。
2. 相手が応じない場合は弁護士へ相談
相手が増額に応じない場合は、弁護士に相談しましょう。弁護士は適切な増額の見込みや手続方法についてアドバイスを行い、代わりに交渉もしてくれます。
3. 調停の申立て
交渉がうまくいかない場合は、家庭裁判所に養育費増額請求調停を申し立てることができます。調停委員が双方の主張を聞き、調整を図りながら解決を目指します。
4. 調停不成立時の審判
調停での話合いがまとまらない場合は、自動的に審判へ移行し、審判官(裁判官)が最終的な判断を下します。
養育費増額の可能性と金額
増額が認められた場合、増額後の養育費は裁判所の「養育費算定表」を基に算出されます。これに基づいて、双方の収入や子供の人数、年齢に応じて適正な金額が設定されます。ただし、私立学校への進学や高額な医療費など、特殊な事情がある場合は、弁護士に相談し、具体的な金額を算出してもらうのが良いでしょう。
増額を求める際のポイント
増額請求を行う際には、具体的な資料を用意しておくと説得力が増します。例えば、進学の際には学費の資料を、医療費が必要な場合には診療明細書などを添えて請求することが効果的です。
養育費の増額請求を拒否できる場合
養育費の増額請求は、話合いの段階では拒否することが可能です。ただし、相手が裁判所に調停や審判を申し立てた場合、事情に応じて増額が認められることもあります。以下のようなケースでは、増額が認められないことがあります。
- 増額を求める理由が不明確な場合
- 当初の取り決め時に、増額の理由となる事情が予測されていた場合
- 増額が著しく不公平となる場合
まとめ
養育費の増額は、必ずしも相手が応じるとは限らず、裁判所でも認められない場合もあります。養育費の増額を希望する場合、または増額請求を受けた場合は、弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、増額の可能性や妥当な金額についてアドバイスを提供し、適切な解決に向けてサポートします。
養育費は、子供が健やかに成長するために不可欠な資金です。受け取る側も支払う側も納得のいく形で取り決めるために、弁護士のサポートをぜひご活用ください。まずはお気軽にご相談ください。
監修:弁護士 濵門俊也
東京新生法律事務所所属 / 保有資格:弁護士(東京弁護士会所属)
離婚問題に関する相談実績年間300件以上です。離婚問題でお困りのことがあればお気軽にご相談ください。
監修:弁護士 濵門俊也
東京新生法律事務所所属 / 保有資格:弁護士(東京弁護士会所属)
離婚問題に関する相談実績年間300件以上です。離婚問題でお困りのことがあればお気軽にご相談ください。