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本日(2024年4月10日)放送の『虎に翼』に登場した明治民法801条を解説します

こんにちは、日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかどとしや)です。

本日(2024年4月10日)放送のNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』にはついに法廷シーンが登場しました。

訴訟代理人弁護士を務めるシソンヌさんの演技が素晴らしかったです(ただ、訴訟「復」代理人と記載されているように見えたのですが、どうしてでしょうか)。

本日の放送では、明治民法801条が登場しました。今回は、明治民法801条について解説します。

目次

【条文】明治民法801条

1 夫ハ妻ノ財産ヲ管理ス

2 夫カ妻ノ財産ヲ管理スルコト能ハサルトキハ妻自ラ之ヲ管理ス

【解説】

1意義

①原則

夫は概して妻よりも財産を管理するのに適している者であるので、財産に関する重大なる行為を妻がする場合には夫の許可を受ける必要がある。

②例外

・本条の規定は公益規定ではないので、当事者がこれと異なる契約をすることは可能である。例えば、妻が夫の財産を管理するとか、夫は夫の財産を管理し妻は妻の財産を管理するなどという定めが考えられる。

2論点

①女戸主の場合

・女戸主の場合でも妻の財産の管理権は夫が持つ。

②夫が瘋癲(フウテン)または白痴である場合

・妻自らがその財産を管理する。

③夫が不在者である場合

・妻自らがその財産を管理する。

④夫が未成年者である場合

・夫の法定代理人が妻の財産も管理する。

上記放送回では、妻からの所有権に基づく物権的返還請求権は認められない旨(もちろん、本編にこのようなセリフはありませんが、法律用語に翻訳しました)語られていました。

「法律に正解はない」わけですから明日以降の放送が楽しみです。

ちなみに、明治民法803条には次のようなことを規定していました。

【条文】明治民法803条

夫カ妻ノ財産ヲ管理スル場合ニ於テ必要アリト認ムルトキハ裁判所ハ妻ノ請求ニ因リ夫ヲシテ其財産ノ管理及ヒ返還ニ付キ相当ノ担保ヲ供セシムルコトヲ得

【解説】

①意義

・夫は妻の財産に対して広大な権限を有するので、もし濫用またはその管理の不能によって妻の財産が消尽することがあったら、妻が後日路頭に迷うようなこともあり得る。よって、必要がある場合には、妻は夫に相当の担保の提供を請求することができる。

②内容

明治民法においては、妻の裁判所に対する請求を待って、裁判所によって必要があると認められた場合にはじめて夫に担保を提供する義務が生じることになる。

これは夫がその広大な権利を濫用する可能性があることを認めている規定といえます。果たして寅子たちは突破口を見いだせるでしょうか。そして裁判の行方は!?

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