
「夫に借金があることが発覚した」



「借金を隠されたまま結婚生活を続けてきた」
このようなご相談は、決して珍しいものではありません。
カードローンや消費者金融からの借入、住宅ローン以外に個人的な借金があった、ギャンブルや浪費で借金を重ねていたことが分かった…
さまざまなきっかけで、配偶者の借金が発覚することがあります。
いざ離婚を考えたとき、多くの方が気になるのが「慰謝料や養育費はきちんと受け取れるのか」「弁護士費用まで払えるのか」という現実的な不安です。
「相手にお金がなさそうだから、離婚しても何ももらえないのでは」「借金がある人と離婚したら、自分がその借金を背負わされるのでは」といったご心配も、よく伺うところです。
本記事では、配偶者に借金がある場合の離婚について、財産分与・慰謝料・養育費それぞれへの影響、実務的な進め方、証拠の集め方まで、弁護士の視点で解説します。


監修:弁護士 濵門俊也
東京新生法律事務所所属 / 保有資格:弁護士(東京弁護士会所属)
離婚問題に関する相談実績年間300件以上です。離婚問題でお困りのことがあればお気軽にご相談ください。


監修:弁護士 濵門俊也
東京新生法律事務所所属 / 保有資格:弁護士(東京弁護士会所属)
離婚問題に関する相談実績年間300件以上です。離婚問題でお困りのことがあればお気軽にご相談ください。
配偶者の借金は離婚理由になるのか/現役弁護士解説


配偶者に借金があるというだけで、法律上ただちに離婚が認められるわけではありません。
もっとも、借金の額や理由、隠蔽の有無によっては「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法第770条第1項第5号)として離婚が認められるケースがあります。



借金そのものよりも、それによって夫婦関係がどれだけ破綻しているかが重要な判断基準になります。
離婚が認められやすいケース
- 配偶者に隠れて多額の借金を繰り返している
- ギャンブルや浪費で借金を積み重ね、生活が破綻している
- 借金の事実を追及すると嘘を重ねる・ごまかす
- 借金の返済のために、夫婦の預貯金や生活費に手をつけている
- 借金の存在を長期間隠していた
離婚の3つの手続き
離婚には大きく分けて、話し合いで成立する「協議離婚」と、裁判所を通じた「調停離婚」「裁判離婚」があります。相手が離婚に応じない場合、裁判で離婚を認めてもらうには法定の離婚原因が必要です。
単なる借金の存在だけでは足りなくても、繰り返しの借金や隠蔽によって信頼関係が完全に壊れている、といった事情を丁寧に主張・立証していくことで、離婚が認められる可能性は十分にあります。
借金の種類で対応が変わる/弁護士が解説


一口に借金といっても、その性質によって離婚時の扱いは大きく異なります。
生活のためにやむを得ず借りたものか、個人的な浪費やギャンブルによるものか、あるいは配偶者に隠して作られたものかによって、財産分与や慰謝料請求の可否が変わってきます。



まずはご自身のケースがどのタイプに当てはまるかを整理することが、今後の方針を決める第一歩です。
生活費のための借金
住宅ローンや教育ローン、生活費の補填など、夫婦の共同生活のために作られた借金は「共同生活のための債務」として扱われることが一般的です。この場合、離婚後の負担についても夫婦間で公平な取り決めが必要になります。
ギャンブル・浪費による借金
パチンコや競馬、キャバクラなどの個人的な浪費が原因の借金は、夫婦の共同生活とは無関係な「個人の債務」とみなされる傾向にあります。この違いは、後述する財産分与に大きく影響します。
隠れて作られた借金
配偶者に知らせず、こっそり借金を重ねていたケースです。金額や借入先を隠していたという事実そのものが、精神的苦痛の原因として評価される場合があります。
事業のための借金
配偶者が個人事業主・経営者の場合、事業資金として作られた借金もあります。事業と生活が混在しているケースでは、切り分けが複雑になることがあります。
財産分与への影響!借金は分与対象になる?ならない?


財産分与は、婚姻中に夫婦で協力して築いた財産を清算する制度です。
プラスの財産からマイナスの財産(借金)を差し引いて計算するのが基本的な考え方のため、借金の額が大きければ、分与できる財産自体が少なくなる、あるいはゼロになることもあります。
ただし、すべての借金が同じように扱われるわけではありません。
分与対象に組み込まれる借金
住宅ローンなど夫婦の生活のために使われた借金は、財産分与の計算に組み込まれます。プラスの財産(不動産・預貯金など)とマイナスの借金を通算し、残った純資産を分与する形になります。
分与対象から除外される借金
一方で、ギャンブルや個人的な浪費による借金は「夫婦の共同生活とは無関係な個人の債務」として、財産分与の対象から除外されるのが一般的な考え方です。
つまり、配偶者が勝手に作った浪費の借金まで、あなたが一緒に背負わされることは基本的にありません。
財産分与の計算イメージ
たとえば、夫婦の共有財産が以下のような状況だとします。
- 預貯金:500万円
- 住宅の評価額:3,000万円(住宅ローン残債2,500万円)
- 夫のギャンブルによる個人借金:300万円
この場合、財産分与の計算は次のようになります。
- 分与対象財産:預貯金500万円+不動産の純資産500万円(3,000万円−2,500万円)=1,000万円
- 夫のギャンブル借金300万円は分与対象外(夫個人の債務として夫が返済)
- 分与額(1/2ずつ):500万円ずつ
この線引きを正確に主張できるかどうかが、財産分与の結果を大きく左右します。
「配偶者の借金だから、自分にも半分責任がある」と誤解して不利な条件で合意してしまうと、本来受け取れる財産を失うことにもなりかねません。



財産分与については下記に相談事例も含めて詳しくまとめていますので、合わせて確認してみてください。
▶ 財産分与
慰謝料請求はできるのか/「借金があると取れない」わけではないが……


慰謝料と配偶者の借金は、法律上は別の問題として整理する必要があります。慰謝料は不貞行為やDVといった有責行為に対する精神的損害の賠償であり、借金の有無そのものが請求権を左右するわけではありません。
ただし、借金を長期間隠していたことや、家計を破綻させるほどの借金を繰り返したこと自体が悪質と評価されれば、慰謝料算定の一事情として考慮される可能性はあります。
「ない袖は振れない」現実的な問題
ご心配されている通り「ない袖は振れない」という現実的な問題は、確かに存在します。
判決や合意で慰謝料額が確定しても、相手に支払い能力がなければ実際の回収は難しくなります。
強制執行(給与差押えなど)という手段はありますが、相手の収入自体が乏しく借金返済に充てられている状況では、実効性が薄いことも少なくありません。
そのため実務では、相手の収入・資産状況を踏まえたうえで、分割払いなど現実的に回収できる形での合意を目指すことが多くなります。
実務的な進め方
- 相手の勤務先・収入・資産の状況を把握する
- 実際に回収できる金額の見立てを行う
- 一括請求ではなく、分割払い・公正証書化などで確実性を高める
- 給料差押えなど強制執行の可能性を評価する



まずは「いくらなら現実的に回収できるか」を見立てることが重要です。
「請求は認められたが、結局取れなかった」という結果を避けるため、着地点を意識した交渉戦略が求められます。
養育費への影響/借金があっても請求はできる


お子さまがいらっしゃるご家庭では、養育費への影響も気になるところです。
借金があっても養育費請求権は失われない
配偶者に借金があっても、養育費の請求権自体はなくなりません。
養育費は「お子さまが健全に成長するために必要な費用」であり、親としての基本的な義務です。借金の返済とは別に、可能な範囲で養育費を支払う責任があります。
養育費の算定と借金
一方で、養育費の金額は、双方の収入・お子さまの人数・年齢を踏まえて、裁判所が公表している養育費算定表を参考に決めるのが一般的です。この算定では、個人的な借金の返済負担は、原則として考慮されません。「借金を返しながらでは払えない」という主張は、通常は認められにくいのが実務です。
未払いへの備え
配偶者の借金・収入状況によっては、離婚後の養育費未払いのリスクもあります。以下の備えを検討しておきましょう。
- 公正証書での取り決め(強制執行認諾文言付き)
- 家庭裁判所の調停調書・審判(強制執行の債務名義になる)
- 給与差押えの準備(勤務先を把握しておく)
- 2020年改正民事執行法による「第三者からの情報取得手続」の活用
「養育費が支払われなくなったらどうしよう」というご不安があれば、離婚時に取り決めを書面化しておくことが、後日の対応を大きくスムーズにします。
借金を隠されていた場合の対処法・証拠の集め方


借金を隠されていたと感じる場合、まずは客観的な証拠を確保することが大切です。
手元で確認できる証拠
- 督促状(消費者金融・カード会社・銀行からの通知)
- カードの利用明細(配偶者名義のクレジットカード)
- 消費者金融からの通知(催告書・請求書)
- 通帳の使途不明な出金履歴
- 住宅ローンの残高証明書
- 借入契約書のコピー
これらは、借金の存在や金額を示す重要な資料になります。
信用情報機関への開示請求
相手名義の借入状況は、信用情報機関への開示請求(CIC・JICC・KSC)によって確認できる場合もあります。ただし、本人以外は原則本人の同意が必要ですが、離婚協議・訴訟の中で開示させる方法もあります。
弁護士会照会制度
弁護士に依頼した場合、弁護士会照会制度を活用して、金融機関に対して借入残高の照会を行うことができます。ご自身では難しい調査も、弁護士が入ることで進めやすくなります。
証拠が手元にない場合でも諦めない
証拠が手元にない場合でも、諦める必要はありません。当事務所にご相談いただければ、どのような資料を集めるべきか、どのような手段で相手の資産・負債状況を把握できるかを、個別の状況に応じてご案内いたします。
離婚後、相手の借金を背負わされないための3つの注意点


離婚後に思わぬ形で相手の借金の責任を負わされないためには、いくつか確認しておくべきポイントがあります。
① 連帯保証人になっていないか
まず、配偶者の借金の連帯保証人になっていないかを、事前にご確認ください。連帯保証人になっている場合、離婚しても保証債務はそのまま残り、離婚とは別に金融機関との手続きが必要になります。
- 住宅ローンの連帯保証人
- 事業資金の連帯保証人
- 奨学金・カードローンの保証人
② 配偶者名義の借金は原則として配偶者個人の債務
婚姻中に配偶者名義で作られた借金は、原則として配偶者個人の債務であり、離婚したあなたが返済義務を負うことはありません。「夫の借金だから、離婚後も妻に請求されるのでは」というご心配は、原則として不要です。
③ 離婚協議書・公正証書で書面化
ただし、口約束だけで済ませてしまうとトラブルの原因になるため、財産分与や借金の扱いについては、離婚協議書や公正証書という形で書面に残しておくことを強くおすすめします。
- どちらがどの財産を取得するか
- どちらがどの借金を返済するか
- 養育費・慰謝料の取り決め
- 面会交流の取り決め
借金がある配偶者との離婚を弁護士にご相談いただく5つのメリット


「借金がある配偶者との離婚は、弁護士に頼んでも意味があるのか」というご質問を伺うことがあります。
むしろ、借金が絡むケースこそ、弁護士の関与が結果を大きく左右することが少なくありません。
① 借金の性質を法的に整理できる
「生活費のための借金か、個人の浪費か、事業資金か」
この整理次第で、財産分与の結果が大きく変わります。ご本人だけでは判断が難しい論点を、弁護士が整理します。
② 隠れた借金の調査
弁護士会照会制度など、ご本人では難しい調査手段を活用できます。
③ 現実的な回収戦略を組み立てられる
慰謝料・養育費について、「請求だけしても意味がない」ケースを踏まえ、実際に回収できる金額と方法を見立てて交渉します。
④ 相手方との直接交渉から解放される
借金問題を抱えた配偶者との交渉は、感情的になりやすいテーマです。弁護士が代理人として入ることで、冷静な話し合いに整えられます。



離婚は、一人で抱え込んでいると、想像以上に精神的な負担が積み重なっていくものです。弁護士という味方がいるというだけで、長期にわたる離婚の交渉のなかでも、少しずつ気持ちが楽になっていく。このようなお声を、ご相談者様から伺うことも少なくありません。
⑤ 公正証書化までワンストップで対応
離婚協議書の作成、公正証書化、養育費の強制執行認諾文言の設計など、後日のトラブルを防ぐ書面設計を一貫して任せられます。
よくあるご質問


- 夫の借金の存在を知らずに結婚しました。慰謝料を請求できますか?
-
婚姻前から借金があったこと自体が慰謝料の対象になるとは限りませんが、結婚時に借金を隠していた・事実に反する説明をしていたなどの事情があれば、慰謝料算定の一事情として考慮される可能性があります。個別の状況に応じてご判断しますので、ご相談ください。
- 夫のギャンブル借金を、私が代わりに返す必要はありますか?
-
原則として、配偶者名義の借金は配偶者個人の債務であり、あなたが返済義務を負うことはありません。ただし、連帯保証人になっている場合は例外です。
- 住宅ローンが残っている家の名義変更はどうすればよいですか?
-
住宅ローン付きの不動産の名義変更は、金融機関の承諾が必要です。ローンの引き受けや借り換え、売却など、複数の選択肢を検討する必要があります。個別の対応方針は、ご相談時にご案内します。
- 夫が自己破産したら、私の生活はどうなりますか?
-
配偶者の自己破産は、あなたの信用情報・預貯金・生活には原則として直接影響しません。ただし、夫婦共有の財産や、あなたが保証人になっている借金には影響があります。
- 借金があると分かった今、まず何をすればよいですか?
-
まずは借金の全体像の把握(借入先・金額・返済状況)と、証拠の確保が優先です。同時に、離婚を視野に入れる場合は、財産の状況(預貯金・不動産・保険など)も把握しておくとよいでしょう。
- 養育費の未払いを防ぐには?
-
公正証書での取り決め(強制執行認諾文言付き)、または家庭裁判所の調停・審判による取り決めが有効です。書面化しておくことで、後日の未払いに対して強制執行がしやすくなります。
- 弁護士費用が心配です。何かサポートはありますか?
-
当事務所では、着手金の後払い・分割払いにも案件によって対応しております。「借金がある配偶者との離婚だから弁護士に頼めない」と諦める前に、まずはご相談ください。
離婚の相談事例/借金夫との離婚は認められる?


「借金があるから離婚できるのか」というテーマについて、当事務所ではご相談を承ってまいりました。
ギャンブルで200万円の借金を作った夫と離婚したい、14年目に350万円の借金が発覚、妻の実家まで巻き込む借金夫との離婚
こうしたご相談を踏まえて、当職が「単に借金があるというだけでは、なぜ裁判で離婚するのが難しいのか」を解説した相談事例がございます。
「自分のケースは離婚が認められそうか」を判断する参考にもなりますので、あわせて下記の記事をご参照ください。


まずは無料相談を/東京新生法律事務所(弁護士 濵門俊也)





「慰謝料や養育費が本当に取れるのか分からない」



「弁護士費用まで払える自信がない」
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- 事務所名:東京新生法律事務所
- 所在地:〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町1-6-2 安井ビル5F
- 電話:03-3808-0771(平日9:30〜17:30)
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まとめ/配偶者の借金が絡む離婚こそ、早めのご相談を


配偶者の借金は、離婚の判断・財産分与・慰謝料・養育費…
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