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離婚・男女問題ブログ divorce lawyer blog

「車を運転していたら,他人の飼い犬を轢いてしまった!」ー法律上はどう扱われるの?

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

昨日来,将来有望な若手俳優がひき逃げ事故を起こし,逮捕されたという話題で持ち切りですが,「車を運転していたら,他人の飼い犬を轢いてしまった」という相談もたまに受けます。飼い犬,飼い主にとっては,当然ショッキングな出来事ですが,轢いてしまった方にも悲しみと困惑を与える事故であることは間違いありません。
ある方は,飼い犬の死を悼みながらも「ペットの飼い主は,リード類をつけずに散歩させていた」と,飼い主側の過失を主張されていました。
交通事故の相手が犬だった場合,法律上どのように処分されるのでしょうか。その辺りを解説します。

目次

ペットは法律上「物」として扱われる

ペット(動物)は,家族の一員と思っている飼い主の方々は納得できないかと思いますが,動物は,法律上「物」として扱われます。

また,わざと(故意に)動物に傷害を加えることは,刑法261条の動物傷害罪や動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法)で処罰される可能性がありますが,不注意(過失)により動物に傷害を加えてもこれらの罪は成立しません。

そして,不注意(過失)の場合でも,民事上の損害賠償責任を負う可能性はあります。
ペットは「物」ですから,物損としての損害は認められますが,時価を限度とします。
慰謝料はといいますと,「物」である以上,残念なことに慰謝料は認められないのが「原則」です。
ただ,「ペットは家族同然」と思われている飼い主の方々も多くいらっしゃると思います。最近では,時価を超える治療費や慰謝料が認められた裁判例もあるようです。
その場合でも飼い主がどのようにペットを管理していたのか,事故態様がどのようなものだったか等,案件によっては過失割合が問題となるケースは多いと思います。

「危険防止等措置義務」と「報告義務」

では,道路交通法上はどのように扱われるのでしょうか。
道路交通法上,動物を轢いた場合に関する規定はなく,「原則として」減点や罰金などの罰則が科せられることもありません。
ただ,動物との交通事故は,車両等による物の損壊として「物損事故」となります。道路交通法72条1項は,物損事故を起こした者にも「危険防止等措置義務」と「報告義務」を課しています。
そして,危険防止等措置義務違反の場合には「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する」(道交法117条の5第1号)とされ,報告義務違反の場合には「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する」(道交法119条1項10号)とされています。
よって,ただ物損事故を起こしただけでは刑事責任を問われることはありませんが,危険防止等措置義務や報告義務に違反すると刑事罰を受ける可能性があり得るということになります。
危険防止等措置義務違反があれば,行政処分の対象となり,免許の点数が引かれてしまうことも考えられます(先ほど「原則として」と説明したのはこの点を考慮しています。)。他人のペットを轢き殺してしまった場合には物損事故となりますので,その場から立ち去るのではなく,危険防止措置を講じた上で,必ず警察に報告すべきです。

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