離婚・男女問題コラム

2023.11.16

ラブホに入った写真だけでは「不十分?!」…弁護士があなたに教えます。不倫夫に突きつける「証拠の集め方」

Q 相談に訪れる方は、どのような理由で離婚を考えているのでしょうか?

A 依頼者の離婚理由で、圧倒的に多いのが「不貞行為」、次が「価値観の違い」でしょうか。不倫をされた側だけでなく、不倫をしてしまった側からの相談もあります。
また、不倫をされた側からの相談も、「今すぐ離婚したい」と考えている人だけではありません。 どうするべきか迷っている方もいらっしゃいますので、離婚することで今後の生活がどうなっていくのか、その方が何を望んでいるのか、じっくりとお話をしていきます。 最終的に、お子さんとの生活を考えて、離婚をやめる方もいます。

Q みなさん、どのような経緯で配偶者の不貞を知るのでしょうか?

A 不倫が発覚するきっかけは様々です。「偶然にメールやSNSを見てしまった」として、知ることも多いですが、女性の場合には「なんとなく勘がはたらいた」という方も珍しくありません。
「なんとなくおかしい」と勘がはたらいたら、言葉は悪いですがまずは夫を泳がせて、証拠集めをしましょう。 ただ、自分では証拠になると思っていても、法律では証拠としての価値が低い場合もあるので、注意が必要です。
たとえば、相談者の中にはSNSやメールでのやりとりを証拠として持って来られる方もいらっしゃるのですが、親密なやりとりをしている程度では「不貞行為」自体の証拠にはなりません。
というのも、離婚理由として認められる「不貞行為」の法的な意味での厳密な定義は「性交渉」をもった場合です。 極端な例ですが、不倫している男性と女性それぞれにGPSをつけて二人が同じ時に同じラブホテルに入ったことを確認していても、当人たちが「性交渉はなかった」と言ってしまえば、「不貞行為」とは認めてもらえません。
確実な証拠となるのは、性交渉中の写真や動画です。ただ、それを証拠として抑えることは、マニアでもないかぎりかなり難しいことです。

Q では、どのような証拠を集めていけばよいのでしょうか?

A 「これ1つで大丈夫」という確実な証拠は「性交渉中の写真や動画」ですが、これ以外にも、証拠を組み合わせることで「性行為があった」ことを立証できるものもあります。
たとえば、相手のSNSでのやりとりや、クレジットカードの明細書、電話の通話履歴、日記をつけておくのもいいでしょう。 日記に書かれたことは毎日のルーティーンで書くものであるし、基本的にはうそを書くものではないですから、証拠としての価値が高いです。 日記には、相手の帰宅時間や行動などを書いていきます。

Q 証拠集めで気をつけた方がよいことはありますか?

A スマホのロックを解除をしたり、勝手にアプリを立ち上げたりして、勝手にSNSやメールの確認はしないでください。 LINEやメールでの私的なやりとりは、プライバシーとして保護される対象であり、勝手に見ることは、プライバシーを侵害することになります。
中には、指紋認証でロックされるスマホを見るために、寝ている間に夫の指を画面につけたという相談者もいました。ただ、これも相手からはプライバシー侵害だとして、損害賠償を請求されるおそれもあり、やめた方がよいでしょう。
 
こちらの手を汚してまで証拠を集めるのはリスクが高すぎます。 たまたまロックが解除されている状態や、ちょうどメールやメッセージが届いて、画面に通知が表示された瞬間などに、偶然見る程度にとどめてください。

Q 離婚を決意したら、証拠集めの他にも始めるべきことはありますか?

A 離婚後に自分で生活の基盤を築くための準備です。慰謝料や財産分与などに期待して皮算用される方が多いのですが、相手の懐を期待してはいけません。 とくに、若い方同士の離婚の場合は、支払う側の収入が少ないことも多いですし、婚姻期間が短ければ一緒に築いた財産も少ないので、慰謝料や財産分与の額も少なくなります。
お子さんがいる場合も、養育費への期待は禁物です。 養育費が未払いになるケースは非常に多いですし、少なくとも、母子が生きていく上で、慰謝料と養育費だけでは全く足りないことを知って欲しいと思っています。
離婚後は、夫に依存しない「自助」で生活していくことが基本であると心得てください。 専業主婦は、離婚を考えたらすぐに就職活動を始めるべきですし、働いていても、現在の収入だけでは生活が成り立たない場合には、なんとか増やす方法を考えましょう。

Q 最後に、離婚を考えている方々に、伝えたいメッセージはありますか?

A 今、離婚を考えている理由が、どんなものであれ、自分のことを一番に考えて欲しいと思っています。 日本人にはどうしても「喧嘩両成敗」の発想があって、「夫の浮気には自分にも原因がある」「私の不徳のいたすところ」などと思いがちです。
しかし、夫婦生活の様々な問題や悩みを一人で抱え込むと、自分自身が心身ともに痛んだり、深く傷つくことになります。 自分とお子さんのことを大切に考えて欲しいと思いますね。
先ほど、離婚後の生活は、他人に依存しない「自助」が基本であると申し上げました。たしかに,「自助」が基本ではありますが、社会の中での「共助」、国や自治体の「公助」もあります。離婚を考え始めた、あるいは離婚したいと言われたら、その時点で結論が出ていなくても、まずは相談に来ていただけたらと思っています。

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