2016.10.06
日本橋の離婚相談|円満離婚から半年…元妻から届いた「不貞行為」の慰謝料請求
こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。
円満に離婚したはずなのに、まさか元妻から「慰謝料請求」が届くなんて・・・。
そうボヤく男性が、弁護士ドットコムの法律相談に「離婚後に慰謝料請求されても、支払わなければいけないんですか?」と、質問を寄せました。
男性は、元妻との結婚をしていた時期に約2年間、ある女性と不倫関係にあったといいます。ただ、離婚時にはバレていなかったため、離婚理由を「性格の不一致」として、慰謝料も支払わずに「円満離婚」できたようです。
ところが離婚後、元妻は浮気の事実をつかんだことから、慰謝料請求をしてきました。
当然といえば、当然の報いではあります。
今回のような場合、男性に慰謝料を支払う義務はあるのでしょうか? 濵門俊也弁護士に詳細な解説をしていただきました。
A. 離婚をした後でも、慰謝料請求はできます
離婚時は円満に別れられたのに、その後になってから急に慰謝料を請求されたとなれば、戸惑っても無理はないでしょう。
婚姻中の不貞行為は、「不法行為」にあたり、その配偶者には慰謝料を請求する権利があります。
協議離婚で円満に別れた後に不法行為が発覚した場合でも、慰謝料請求の裁判を起こすことができます。
ただし、慰謝料には「消滅時効」があり、一定の期間が経つと請求が難しくなります。
不倫や不貞行為に対する慰謝料の消滅時効期間は、「不倫や不貞行為の事実及びその相手方を知った時から三年間」が原則です。
不倫や不貞行為が離婚の原因となった場合は、「離婚した時から三年間」が消滅時効期間です。
ご相談者のケースでは、半年前に離婚し、最近になって不倫が発覚しています。消滅時効の三年が経過していない限り、元妻には慰謝料を請求する権利があります。
しかし、消滅時効にかかっていなければ、裁判で必ず慰謝料請求が認められるわけではありません。
そもそも離婚の慰謝料は、配偶者の不倫や暴力などの「不法行為」によって、離婚を余儀なくされた場合に、その精神的苦痛をやわらげるためのお金です。
精神的苦痛といっても、様々な捉え方ができますが、法律では、「不倫や暴力など、離婚原因となった配偶者の行為から受けた苦痛」、「配偶者の不法行為が原因で離婚せざるを得なくなったことによる苦痛」と捉えています。
なお、不貞行為を原因とする慰謝料請求が認められるためには、相手の不貞行為によって婚姻関係が破綻し、離婚に至ったという事実も重要なポイントになります。
ご相談者の場合、元妻が感じている苦痛は「過去に不倫をされていたことを知ったこと」であり、今現在の苦痛ではありません。
さらに、協議離婚時には、不倫は発覚していなかったわけで、不倫は離婚の直接の原因ではなく、性格の不一致など、別の原因だったのではないでしょうか。
不貞行為を原因とする慰謝料が認められる可能性は低いと考えられます。仮に慰謝料請求が認められるとしても、不貞行為が原因で離婚に至る典型的なケースよりは、かなり金額が低くなるでしょう。
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