ケースの紹介

2016.10.07

離婚時の慰謝料の相場はない?できるだけ多くの慰謝料をもらうためには?

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

1 離婚慰謝料とは何ですか?

 

離婚するに当たり,相手方から不当な行為を受けた場合には,慰謝料を請求したいと思うのが人情ではないでしょうか。

婚姻関係や交際関係から生じる男女間での慰謝料請求事案は多く,なかでも近年は不貞行為慰謝料をめぐる紛争が増加傾向にあります。

厳密にいいますと,離婚慰謝料は,離婚原因である個別的有責行為による精神的苦痛に対する損害賠償請求権(離婚原因慰謝料)と,離婚そのものによる配偶者の地位の喪失という精神的苦痛に対する損害賠償請求権(離婚自体慰謝料)に分類されます。
ただ,実務上は,両者をあまり厳密に区別しません。そこで,この記事では,両者を合わせた概念として,離婚慰謝料という概念を用いることとします。

2 財産分与と離婚慰謝料との関係はどうなるの?

 

離婚慰謝料には,損害賠償としての側面と離婚給付としての側面とがあります。

そのため,財産分与において慰謝料的要素が考慮されたか否か,またどの程度考慮されたかは,離婚慰謝料の請求に大きく影響を及ぼします。

そこで,実務上は,後日の混乱を避けるために,財産分与と慰謝料は明確に分けて主張・立証をするようにされています。

3 婚姻期間は離婚慰謝料にどのような影響を及ぼすの?

 

離婚慰謝料の算定要素としては,①婚姻期間,②支払う側の資力,③有責性,④未成年者の子の有無等があげられます。

そのうち,①婚姻期間は大きな要素であり,長期間の婚姻関係は慰謝料増額の大きな要因となっている傾向がみられます。

これは,婚姻関係の破綻による精神的・経済的損害の大きさに比例していると考えられるのではないでしょうか。

そこで気になるのが「慰謝料っていくらもらえるのだろう?」ということだと思います。

「慰謝料の金額は100~300万円が相場とされている」などという情報を見られた方もおられるでしょう。
たしかに,多くの事案を経験しますと,その枠に入ってくる傾向は見られます。しかし,実際は事案次第のような気がします。

4 慰謝料請求の流れはどうなっているの?

 

⑴ 原則的には話合いかもしれないけれど・・・

 

同居していようが,別居していようが,もし相手方が話合いに応じてくれるのであれば,それにこしたことはありません。
しかし,実際は感情のもつれ等もあり,まともに話合いができないことが多いでしょう。とくに,暴力を振るうような相手方であればなおさらです。

 

⑵ 話合いでまとまらなければ,まずは離婚調停を申し立てます

 

もし,話合いでまとまらない場合,まずは離婚調停を申し立てることとなります(調停前置主義)。

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に,夫婦関係調整(離婚)申立書を提出することによって申し立てることができます。その際,希望する慰謝料金額を申立書に記載することができます。

 

⑶ 離婚調停でもまとまらなければ,離婚訴訟によります

 

調停がまとまらない場合は調停不成立となります。

離婚したければ離婚訴訟を起こすこととなります。この場合,管轄は相手方(被告となります。)の住所地のみならず,本人(原告となります。)の住所地でもよいこととなります。

離婚訴訟のなかで,離婚の問題と慰謝料についての問題の解決を目指すこととなります。

①裁判離婚をするには離婚原因が必要です

裁判によって離婚をするには,法律が定める離婚の原因(民法第770条第1項各号)が必要とされています。

具体的には,以下の通りです。
• 不貞行為

• 悪意の遺棄

• 3年以上の生死不明

• 回復の見込みのない強度の精神病

• その他,婚姻を継続しがたい重大な事由(暴行,浪費,犯罪,性格の不一致など)

セックスレスは,「その他,婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たるとされています。
慰謝料請求が可能なような場合には,離婚原因があると考えてよいでしょう。

②離婚訴訟の流れ

離婚訴訟は,以下の流れで進みます。

ア 訴状の作成

イ 訴状の提出

ウ 相手方(被告)へ訴状の送達

エ 第一回口頭弁論期日の指定

オ 数回の口頭弁論を繰り返す(弁論準備手続に付されることも多いです。主張と立証を繰り返し,争点を整理していきます。)

カ 証拠調べ(当事者ご本人に事情を聴きます。)

キ 判決

なお,裁判所は,訴訟のどの段階でも和解を勧めることができますので,途中で裁判上の和解が成立し終結することも多いです。

③裁判では,証拠の比重が多くなります

裁判では,話合いや調停の場合と比較して,証拠の重要性が増します。裁判では,証拠がなければ,その主張する事実はなかったという取扱いとなっています。

しっかり証拠をそろえて相手方の行為の違法性を主張することとなります。

 

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