離婚・男女問題コラム

2022.01.07

受験生が書いた「合格祈願」の絵馬→SNSにアップ、法的問題は?

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

本格的な受験シーズンを迎え、神様の力を借りたい受験生やその親も多いことと思います。例年、合格祈願に訪れる人があとをたたない神社には、そんな受験生たちの切実な願いを書き連ねた絵馬が奉納されています。絵馬の前で写真撮影し、SNSにアップする人もいるが、法的には問題ないのでしょうか。

12月下旬、中学受験生の子どもに代わって、都内有数の神社で絵馬を奉納した会社員の男性(40代)。妻にその写真を送ると「ほかの受験生やその親御さんが書いた絵馬から、名前や志望校すべて見えるけど、プライバシーは大丈夫なの」と尋ねられて、困惑したといいます。

SNSでは、悪意はないのでしょうが、絵馬の前で写真を撮った人たちの投稿写真を拡大してみると、背景に名前や志望校、住所などがはっきり映ったものもあります。

どこの誰が、願いごとをしているのか神様に伝えるためにも絵馬に個人情報を書く必要があるとされとのことですが、最近ではその部分にシールを貼ったり,袋に入れるなど個人情報に配慮した神社も出てきています。

ついやってしまいがちなSNSアップですが、法的にはどう考えられるのでしょうか。

●プライバシー侵害の可能性は?

絵馬のSNSアップは、故意(わざとしたもの)・過失(うっかりによるもの)を問わず、プライバシー権侵害による民法上の不法行為責任(民法709条、710条)を追及されるおそれがあります。

公共の場に置かれているからといって、かならずしもプライバシー権の侵害がなくなるとはいえません。絵馬は実際に神社に行かなければ見られないものです。SNS上で不特定多数の人に拡散することを想定していません。

「プライバシー気にするようなら絵馬なんか書くな」という意見はあるのかもしれません。しかし、絵馬は神様宛に書くものであり、第三者に知らしめる類のものではありません。

このくらい大丈夫だろうということはもはや通用しない時代となりました。SNS利用のリテラシーを持つべきでしょう。

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