離婚・男女問題コラム

2019.11.18

最高裁,新たな「算定表」を発表(12月23日)

こんにちは。日本橋人形町の弁護士・濵門俊也(はまかどとしや)です。

 

先日から,結構問い合わせのある件について説明します。
夫婦が離婚する際に取り決める養育費や,別居の際の生活費などの婚姻費用について,最高裁判所の司法研修所は,社会情勢の変化を踏まえて算定方法を見直し,令和元年(2019年)12月23日に公表すると発表しました。改定版では,税制や教育費,生活保護費の基礎となる「最低生活費」の変化が反映される見通しだそうです。

最高裁は昨年7月に見直しに着手していました。実務に与える影響の大きさを考慮し,事前に公表日を発表したそうです。

 

現在の算定方法に基づく養育費や婚姻費用については「低額でシングルマザーの貧困を招いている」などの批判がありましたが,新たな算定方法では夫婦の収入などによっては増額される可能性もあるとみられます。
養育費を決める際などには,裁判実務上,有志の裁判官らの研究会が平成15年(2003年)に法律雑誌に発表した簡易算定方式(いわゆる「算定表」)が使われています。「算定表」は,子どもの年齢や人数,支払う側(義務者)と受け取る側(権利者)の年収に応じた額を提示しており,素早い紛争解決につながるとして実務上広く定着しています。
ただ,この算定方式では,夫婦の総収入から税金や経費を差し引いた金額を「基礎収入」として養育費を算出します。すると,基礎収入は総収入の4割程度となるため,「養育費が低すぎる」といった指摘も出ていました。
一方,日本弁護士連合会は平成28年(2016年)11月,新たな算定方式を独自に発表しました。総収入から差し引く経費に住居費や保険料を含めないことにより,基礎収入が総収入の6,7割程度となり,算出された養育費が現行の約1・5倍となる内容でした。ただ,なかなか裁判実務上は現行の「算定表」にとって代わることができませんでした(数件ではありますが,新しい算定表を使った裁判例はあります。)。
司法研修所は昨年7月から算定方法の見直しに着手していました。東京,大阪両家裁の裁判官4人を研究員に選び,養育費などの算定に関する実証的な研究を行ってきました。
新たな算定方法では,近年の家庭の支出傾向を踏まえ,増額される場合もあるようですが,夫婦の収入などによっては現状と変わらないケースもあるとみられています。

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