ケースの紹介

2016.10.06

家事事件手続法の主なポイント

こんにちは。日本橋人形町の弁護士濵門俊也(はまかど・としや)です。

 

平成25年1月1日から,家事審判法に代わって家事事件手続法が施行されています。すでに2年を経過しており,実務的にも定着してきました。
今回は,家事事件手続法の主なポイントをご説明いたします。

1 家事事件手続法制定の理由

制定の理由は,家事事件の手続を国民にとって利用しやすく,現代社会にマッチした内容とするためです。

昭和23年1月から施行された家事審判法を廃止して,新たな手続を定めた法律が家事事件手続法です。家事審判法施行開始より60年以上を経過して,我が国における家族をめぐる状況や国民の法意識は大きく変化しました。現代社会では,当事者が手続に主体的に関わるための機会を保障することが重要になってきました。
そこで,家事事件の手続を国民にとって利用しやすく,現代社会に適合した内容とするために,全面的に見直し,新たに家事事件手続法が制定されたのです。

2 家事審判法のもとにおける運用との違い

① 申立書の写しの原則送付

原則として,申立書は相手方に送付されることとになりました[家事事件手続法(以下,「法」といいます。)256条1項本文]。

家事審判法のもとでは,相手方が感情的にならないように,申立書の写しを送るとはされておらず,運用にまかされていました。しかし,現代社会においては,自分自身の紛争に関する情報について入手できることが重要であり,また事前に検討して自分の言い分などを準備することができることから,原則送付としたのです。 

ただし,例外として「家事調停の手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められるとき」(法256条1項ただし書)が認められています。
たとえば,申立書を相手方にそのまま見せてしまうと,申立人と相手方との間の感情のもつれが一層激しくなって,手続の円滑な進行に支障をきたすおそれがある場合は,申立書の送付はしないのです。 

② 記録の閲覧謄写

審判と調停では取扱いが異なります。

○審判について

当事者からの請求は原則許可するものとしました(法47条3項)。
ただし,事件に関係する人のプライバシー等に配慮して,例外として一定の場合には不許可とすることができるとして,不許可とされる場合を明確に規定しました。

不許可とされる場合は以下の4つです。

ⅰ 事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれがあると認められるとき
ⅱ 当事者又は第三者の私生活又は業務の平穏を害するおそれがあると認められるとき
ⅲ 当事者又は第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより,その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ,又はその者の名誉を著しく害するおそれがあると認められるとき
ⅳ 事件の性質,審理の状況,記録の内容等に照らして当該当事者に申立を許可することを不適当とする特別の事情があると認められるとき

○調停について

家事審判法と同じく,裁判所が「相当と認めるとき」にだけ記録の閲覧・謄写ができます(法254条3項)

③ 陳述の聴取

相手方のある家事審判事件では,原則として,当事者の陳述(事件についての認識,意見,意向等)を聴取しなければならず,当事者の希望があれば,裁判官が直接陳述を聴く手続によって行わなければならないこととしました。

④ 審判の結果により結果を受ける者(子どもなど)の手続保障

審判の結果により影響を受ける者が手続に参加した場合の権限を明確にし,閲覧謄写等について,当事者と同様の権能を与えることとしました。

個別の家事審判事件ごとに,審判の結果により影響を受ける者等から陳述を聴かなければならない場合を明記しました。

とくに子どもが影響を受ける事件では,子どもの意思を把握するように努め,これを考慮しなければならないとしました(法65条,258条)。 

⑤ 電話会議システム

遠隔地に居住しているといった事情でなかなか出頭が厳しいという場合に,電話会議やテレビ会議の方法で調停の手続を行うことができるようになりました(法54条,258条1項)。
ただし,離婚や離縁の調停を成立にあたっては,本人の意思を慎重に確認する必要があることから,電話会議やテレビ会議の方法ではできません。

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